INCI成分表示の読み方 入門ガイド
化粧品の成分表示(INCI表示)を正しく読む力は、スキンケア選びの基盤となるスキルです。しかしその読み方には一般的に誤解されているルールがいくつかあります。
INCIとは
INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)は、化粧品成分の国際的な命名規格です。
- 制定:1973年に米国のCTFA(Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association)が策定。現在はPCPC(Personal Care Products Council)が維持管理
- 目的:世界各国で同じ成分を同じ名前で表示できるよう標準化
- 表記:ラテン語(植物名等)および英語に基づく。水はすべての国で「Aqua」と表示
- 採用地域:EU(義務)、米国(業界標準)、日本(化粧品では推奨・普及中)
成分の記載順序のルール
基本ルール(全成分表示の国際標準)
成分は含有量の多い順に記載します。
ただし重要な例外があります:
1%以下の成分は順不同で記載可能
全成分のうち「含有量が1%を超える成分」は多い順に記載しますが、「含有量が1%以下の成分」はそれ以降に順不同で記載することが許可されています。
実用上の意味:
- 成分表の後半にある成分が全て「少量すぎて無意味」ではありません
- 1%以下でも非常に有効な成分があります(例:レチノール0.05〜0.1%、ビタミンC 0.5〜1%、植物エキス類)
色素成分
化粧品に使用される色素は含有量にかかわらず、成分表の最後にまとめて記載することが許可されています(CI番号での表示:CI 77891等)。
よくある誤解
「成分表の最初の成分が主成分」→ 基本的に正しい
水(Aqua)が最初に来る製品では水が最多成分です。これは正しく理解されています。
「成分表の後半の成分は効かない」→ 誤り
前述のように1%以下の成分は順不同で後半に並ぶため、「後半=微量」は正しいですが「微量=無効」は誤りです。多くの有効成分は少量でも作用します。
「Fragrance(香料)は1種類の成分」→ 誤り
EU以外では「Fragrance」または「Parfum」という一括表示で何十種類もの香料成分が隠れている場合があります。EUでは26種の香料アレルゲンは個別表示義務があります。
水は必ず「Aqua」?
INCI命名では水はAquaと表示します。国内製品では「水」と表示されることもあります(日本の化粧品基準での和名表示)。
「Water」「Eau」「Wasser」等、各国語表記の製品が輸入された場合もすべて同じ成分(水)を指しています。
日本固有のルール:医薬部外品の二段表示
日本の医薬部外品では:
有効成分(有効性が認められ届出された成分)→ 別枠で最初に表示
その他の成分(全成分)→ 含有量順に続けて表示
この二段表示は化粧品にはなく、医薬部外品固有の方式です。
INCIデータベースの活用
このサイト(SkincareDB)では以下の情報を検索できます:
- 成分ページ:INCI名または一般名で検索 → 規制ステータス・コメドジェニック評価を確認
- 成分解析ツール:製品の全成分リストを貼り付け → 各成分を一括チェック
- 肌悩み別ガイド:特定の肌悩みに関連する成分を一覧で確認
詳細は英語版完全ガイドをご覧ください。
よくある質問
成分表の1番目に水(Aqua)が書いてあると、その製品は効果が薄いのですか?
そのようなことはありません。水(Aqua)が最多成分であることは、水性乳化処方(エマルジョン、クリーム、ローション等)では一般的です。製品の効果は水の含有量ではなく、有効成分の種類・濃度・処方技術によって決まります。
INCI名が読めない場合はどうやって成分を調べればよいですか?
このサイトの成分検索機能または成分解析ツールをご利用ください。INCI名を入力すると規制ステータスや機能が確認できます。また一般名(英語)での検索も可能です。日本語製品の場合は、和名表示とINCI名の対照が必要なことがあります。
「香料(Fragrance)」という表示だけではどの香料が含まれているかわかりませんか?
EU域内で販売される製品では、26種の指定香料アレルゲンがリーブオン製品で0.01%超・リンスオフ製品で0.1%超の場合は個別表示義務があります。しかし日本や米国では「香料」または「Fragrance」の一括表示が許可されており、内訳は公開されません。香料アレルギーが心配な場合は、フレグランスフリーの製品を選ぶことが確実な対策です。
英語版完全ガイドを読む
このページは日本語の入門・サマリー版です。詳細なデータ・参考文献・規制条文の引用を含む完全版は英語でご覧いただけます。
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このページは情報提供を目的としており、医療・皮膚科学的なアドバイスを構成するものではありません。規制データは公式政府データベースを出典としていますが、最新情報が反映されていない場合があります。規制判断に関わる決定を行う際は必ず公式機関の最新情報を確認してください。